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令和4年2月東榮寺各種活動参加者へ送付した言葉

  • 執筆者の写真: toeiji
    toeiji
  • 2022年2月1日
  • 読了時間: 3分

今年は寅年です。お釈迦さまは生まれる前、さまざまな生き物として生まれ変わり、幾度となく善行を積んでいました。その様子を描いたジャータカという物語があります。その中のトラがでてくる話をご紹介致します。


 昔、大きな森があり、そこにトラとライオンと山犬が住んでいました。山犬はトラとライオンにとりいって、彼らの食べ残しをもらって生きていました。


 ある日、山犬はいつものように食べ残しをもらって満腹になり、ごろりと寝そべって考えました。「今日までにおれは、色々な肉を食べたが、トラとライオンの肉は今まで一度も食べたことはない。こいつらの仲を裂いて争うように仕向ければどうだろう。2頭とも共倒れになればしめたものだ」


 早速、ライオンのところへ出かけ言いました。「あのトラはあなたの悪口ばかり言っていますよ。ライオンなんてダメな奴だって。毛並みや体つきにしろ、生まれや力強さや勇気にしても、私に及ばないって」するとライオンは、「消え失せろ、山犬。私の親友のトラはそんなことを言うやつではない。このうそつきめ」と、どなりつけました。

がんとして答えるライオンの前から引き下がると、今度はトラのところへ出かけ、同じことを言いました。トラはびっくりして、ライオンのところへ行って歌うように問いかけました。「私の親友よ 君はほんとに 言ったのか 毛並みや力 体つき 私が君に かなわぬと」ライオンは、これに答えて歌を唱えました。「私の親友よ 心卑しい山犬は 同じことを私にも 告げ口したが我が友よ 君を信じる私なら なんで虚言を信じよう」「君と私は友達で 平和に日々を過ごしたが もしも平和なその日々を 壊す気ならばもう二度と 共に住むのは望まない」「他人の言葉を吟味(ぎんみ)する 知恵も持たずに簡単に 信ずる者は友達も すぐに離れてしまうだろう 敵もたくさんできるだろう」「勝手気ままで だらしなく 友を疑い欠点を 探す輩は友じゃない 僅かな疑問も挟まずに 母に抱かれてすやすやと 眠る子どもの無心さは 壊すことなどできぬもの そんな友こそ本当の 友と呼ぶのに値する」友情がいかに大事なものかとライオンに教えてもらったトラは、大変感激して、山犬の言葉を信じた自分の浅はかさを恥じ、心から謝りました。


 悪巧みに失敗した山犬は、2人の怒りを恐れて遠い場所に逃げ出しました。その後、2頭は仲良く森の中で暮らし続けたといいます。

 山犬は2匹の仲を裂こうとしました。たとえ信じあう仲であったとしても、一つの言葉で揺らいでしまうのが私たちの心です。疑いが生じた時に本音で話し合えるのが真の仲間。そんな友人の大切さを表しているといえるでしょう。


第6波は収まる様子が見えませんが、いつかは治まります。

人付き合いも元に戻るでしょう。それまでは会いたくても会えないといった事もあったでしょう。会ったら会ったで、さまざまなトラブルが起こるのも人の世です。

そんなときはこの二年間を思い出して下さい。

せっかく会えるようになった日常を大切にしましょう。

せっかく会えるようになった人間関係を大切にしましょう。

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